私の弟

第7章

弟が自宅の新築を着工して間も無い頃、1 年ほど前に会社を退職していた弟の前の上司の方から連絡が入りました。話の内容は共同出資で新会社をしないかとのことでした。弟は上司の人柄もご家族のことも、よく知っていたようです。やはりこの時も、いつものようにお誘いがあったということですね。何か新しいことが出来るのではという思いと未知なるものへの好奇心も出て来ました。そして、自宅が 5 ヶ月で完成した直後に、帰国後入社した会社を取締役から引き止められながらも退職し、前の上司の方の他に 2 人の出資者を含め 4 人の共同出資で新しい木工会社を設立しました。事務員さん、職人さんなど全員で 8 人の小さな会社で、前の上司と弟の 2 人が慣れた営業活動をすることになりました。弟は仕事の計画などは自分で行うので、それなりに楽しく、収入も前の会社に比べずいぶん増えて来ていたようでした。折から日本もバブル経済期に向かっていたので順調に営業活動が出来たと言っていました。私も弟の仕事がこのまま継続してくれることを期待していました。新会社が 4 年過ぎた頃、残念ですが、やはり問題は起きました。最初会社を始める時、共同出資の会社は利益を上げると、利益分配のことで問題が生じやすいと聞いていたのですが、結局、弟と前の上司の 2 人は会社の出資金を受け取り、会社の役員を辞めることになりました。しかし、会社の工場は就業しているので、それぞれが商品を特別な価格で買い取り、お得意先へ販売するということで仕事の継続は解決出来ました。

(第8章につづく)

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